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『古事記講義』

 

古事記講義 (文春文庫)

古事記講義 (文春文庫)

 

古事記のひみつ』で衝撃を受けた三浦佑之さんの本。

こちらも目から鱗の内容が多々あり、うまく感想をまとめられません。

内容を列記しておくと、

 

神話はなぜ生まれたか

人がそこに生きる根拠が必要。それを保証するもの。
人間が生きていくうえで、不安はつねにつきまとう。
人やその土地が、ゆるぎないものであるという安心感を得て、そのような不安を退けるため。
そして、日本人は「人」を何に見立てていたかというと、「草」である。
古事記のはじめに「ウマシアシカビヒコヂ」という神が登場するが、名前からかんがえておそらくは原初の神であろう。
「うつしき青人草」とは、青々とした草である人、という意味。

 

英雄時代論争

石母田正が提唱した。国家成立以前に「英雄時代」と呼んでよい時代があったとするかんがえかた
西洋詩学の概念。文学史上の問題として提起されたが、歴史学の問題になってしまったことが不幸であった。

 

古事記日本書紀に対する三浦氏のとらえかたははっきりしています。

古事記は、物語として国家の周辺にあったもので。日本書紀は、国家としてのアイデンティティを確立するために編纂された、対中国を特に意識したもの。

ということは、より日本人の心の古層にある感覚を究明するためには、古事記こそが重要ということです。

古事記は「語られる神話」であり、「語られる」とは口承という意味、つまり文字が入っていくる以前のオーラルな文学の痕跡を古事記に求めているのです。

 

わたしが知るかぎり、古事記の性格をこのようなはっきりした形で示したのは三浦氏がはじめてです。

学術の域を超えたわかりやすい主張ですし、日本人必読の書かとおもいます。