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『バウドリーノ』

バウドリーノ(上)

バウドリーノ(上)

 
バウドリーノ(下)

バウドリーノ(下)

 

先日亡くなった、イタリアの作家、ウンベルト・エーコの創作歴史小説

エーコといえば、『薔薇の名前』です。いまから30年弱、映画が日本でもヒットして有名になりました。中世イタリアの修道院を舞台にしたミステリーでしたが、映画はともかく小説はとにかく難解で、理解するのに苦労しました。おそらく、歴史的なバックボーンがない日本人にはピンとこないおはなしだったかと。

そのエーコによる中世の歴史もの。今回も「むずかしいのか?!?」と構えて読みました。

でも、わかりにく(すぎた)のは冒頭部分だけで、あとはつまるところもほとんどなく読み進めることができました。

こちらのほうが、人間の感情にとても素直なような気がします。血が通っているといいますか。

 

この小説、最後の最後に「どんでん返し」が待っていました。

それまで物事の牽引役だった主人公バウドリーノ。生まれて初めて、他人に自分の在りかたをひっくり返されてしまいました。

エーコがこういう結末を用意していたとは(さすがというか)

 

それから、この小説の世界観、『山海経』に似ています。

中世の"贋作"とされる「司祭ヨハネの手紙」と漢代に完成した『山海経』に共通点があるということは、自分たちの外の世界に対して、人間とは、似たような想像力を働かせてしまうもの、といえるかもしれません。