『騎士の息子』上・下

騎士(シヴァルリ)の息子 上 <ファーシーアの一族> (創元推理文庫)

騎士(シヴァルリ)の息子 上 <ファーシーアの一族> (創元推理文庫)

 

 

騎士(シヴァルリ)の息子 下 <ファーシーアの一族> (創元推理文庫)

騎士(シヴァルリ)の息子 下 <ファーシーアの一族> (創元推理文庫)

 

 世継ぎの王子の庶子に生まれた子どもが、暗殺者として王国のために働くはなし。
王家の血を引く者には、<技>と呼ばれる一種のテレパシーが備わっていて、人の心を読んだり操ったりすることができる…

最初のほうは、暗くてたのしくもない描写がつづくので、とても退屈だったが、主人公が少年になるころに一気に話が進んで、あとはつづきが気になるくらいおもしろかった。
主人公が、はっきり第二王子ヴェリティにつく、とわかったあたりから。

第三王子リーガルが、このシリーズの「悪役」らしい。


ただ、この悪役が再起不能になって終わらずに、「とりあえずヴェリティの地位が保たれた」の段階で物語が途切れるため、読者としては、「こいつがのうのうと生きてるのは、後味悪いな」とおもわずにはいられない。
つづくシリーズで、それは払拭されるらしいけれど、この上下巻だけをとってみれば、なんとももやもやする。

西欧中世っぽい世界観で、いわゆる魔法は存在せず、ファンタジー的な要素としてはテレパシーになるが、かなり描き込まれていて、感覚的にわからないということはなかった。

不満としては、この国、この世界の宗教がどうなってるのか、よく見えないところ。
正式な婚姻外の子どもは王家の一員として扱われないのであれば、その「婚姻」は何をもって正当とされるのか、盛りこむべきではなかろうか。
いまのところ、聖職者の影は見当たらない。

主人公の父・世継ぎの王子が誰によって殺されたのかもあきらかにされず。
リーガルが関わっているのかどうなのか。

でも、それよりもなによりも、どうも、主人公が読者に愛される人間には見えない。
同情はするが、好きになれないかんじ。それがこの物語の読後感を悪くしているとおもいます。