『千年王国の追求』

千年王国の追求

千年王国の追求

 

いうなれば、「ヨーロッパの暗黒面」を見たような気がした。
過激な思想、かんがえかたというのは、どこの時代、どこの民族にもあるものだが、中世ヨーロッパで繰り返し出現した「千年王国主義」ほど、一定地域で長くつづいたものはないのではないか。

この本を書店で手に取ったのは、「千年王国」というある種の理想郷をもとめたひとたちはどういう活動をしたのだろう、とその内容に興味があったからなのだが、歴史は残酷だった。
理想主義の名のもとに行われた、大量虐殺、個人崇拝(自身を「神」よりも上にみる思想)、排他的行動など、途中から読んでいてうんざりした。

人間は20世紀にはいってはじめて大量虐殺を行うようになったのではなく、昔から似たようなことをしてきたとわかった。
千年王国主義」を支えたのが、社会の底辺にいた貧しい人間、というのも衝撃である。
抑圧された人間の狂気ほどおそろしいものはない。

共産主義思想が、西欧から出現したのも、なるほど、とおもう。
確実に「千年王国主義」の延長線上にあるものだ。



西欧の歴史家が、どのように自分の研究について世に表すのかもよくわかった。
日本人だと、史料を提示して、客観的な史実を導こうとするが、彼らは「歴史叙述」に重点を置くらしい。
あたかも「すべてが過去に起こったこと」であるというように書くので、物語にちかい。