『銃・病原菌・鉄』下巻

この本の内容は、以下のような筆者の疑問に集約されています。

氷河期が終わった時点で、文化的、文明的に差のなかった各大陸の人類が、いかにして現代のような「差にまみれた状態」になったのか。

上下2巻にわたって、延々と検証した内容になっていますが、とどのつまりは「各大陸の環境がちがったから」という大まかな理解で合っているかと。

農耕するのに適した穀物・植物も肥沃で温暖な環境でこそ自生できますし、文字の誕生も複雑な社会がある程度生まれなければ発生しないでしょう。

よって、肥沃三角地帯周辺で農耕を営んだ人類(インド・ヨーロッパ語族の先祖)の子孫が、世界の支配的地位についているのはよく理解できました。

でも、一読して実感するのはその点だけ、といっていいとおもうんですよね。

後半を読んでいると、常に「なぜ西欧なのか」(=西欧が近代文明を生んだか)という疑問が頭をもたげてくるんですけど、それに対する明確な回答は得られませんでした。

かろうじてエピローグで、「なぜ文明先進地帯の肥沃三角地帯や中国ではなくヨーロッパが主導権を握ったのか」に触れられていますが、

肥沃三角地帯については、土壌は豊かだが降雨量は少なく、その地域のひとびとは自らの環境基盤を破壊してしまった、

中国については、漢民族が「政治的に統一されていたから」(競争が発生しにくい体質ということか?)、

と述べるにとどまっています。

ものすごい拍子抜け^^;(いちばん大切な部分じゃないかとおもうんだけど!)


著者の、「人類のアタマ(頭脳)にちがいはない、主に環境のせいで現在のような格差が生じているのだ」という主張はもっともだとおもいます。

ただ、検証結果をくりかえし述べるのではなくて、もっと民族的なかんがえかたのちがい(各文明の「差」)に踏みこむべきではなかったかとおもわざるをえません。

あと、著者は、西欧人らしい直線的な歴史のとらえかたをしています。

小規模血縁集団→部族社会→首長社会→国家

国家では、争いの解決方法として、法律や裁判を用いるそうですが……(そうでない国家もかなりあるとおもいますが)


以下、二三、疑問を列挙しておきます。

「中国は言語的に統一されている」とあるんですけど、え?そうなの???
「統一」とはどのレベルでの統一? おなじ文字を使っている、という意味で?

日本の古代においては、「天皇だけに用いられる特別な二人称があった」とあるんですけど、そんなのあったかとかんがえたところ、「おおきみ」を指しているらしいと…(それ以外に思い浮かばない)

「大王」って二人称と言えるのか???^^;
「おおきみ」だとしたら、斬新なとらえかたです。