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『キーワードで引く古事記・日本書紀事典』

日本史(古代)
キーワードで引く古事記・日本書紀事典

キーワードで引く古事記・日本書紀事典

 

 『古事記』『日本書記』に出てくる重要な神、人物、用語について解説した本。
帯に「記紀を読むひと必携の書」とありますが、この本だけでは記紀に出てくる用語を全部理解するのはむずかしいかと。
むしろ、記紀を読んだひとが、ほかのところで用語の意味を知りたいときに、手っ取り早く調べるのに向いています。

執筆者は、編者合わせて六人ですが、なかには古代史専門ではないひともまじっていて、間違いもちらほら。

草薙の剣は、八岐大蛇を斬った剣ではなくて、斬った八岐大蛇の尾から出てきた剣ですよね^^;

筆頭編者であり、もっとも多く記述しているとおもわれる武光誠は、一般向けの古代史解説書を多くだされているかたです。詳細にたしかめてはいませんが、一応信頼していいかと。

『日本人になった祖先たち』

サイエンス
日本人になった祖先たち―DNAから解明するその多元的構造 (NHKブックス)

日本人になった祖先たち―DNAから解明するその多元的構造 (NHKブックス)

 

先日テレビで、縄文人のDNAについての最新の研究を紹介していて、手持ちの本のなかから引っ張り出して再読しました。

20世紀まで日本人の起源はいろいろな説が乱立している状態でしたが、科学の発達によってかなり詳しいところまでわかるようになってきたようです。

現代人のミトコンドリアDNAの分析によると、旧石器時代縄文時代)断続的に大陸からやってきたひとたちが日本に住み着き、その後弥生時代になって農耕を持った中国南部のひとたちがやってきて平和裏に混血、現代日本人の祖先になった、ということです。

となると、縄文時代からして、日本人は多様であったということができます。
縄文人、弥生人という単なる二重構造ではないようです。

そして、現代は弥生人流入以来の、DNAシャッフルが進行しているとか。
多様性がなくなるのは、残念。これも時代の流れなんでしょうか。
 

『日本列島の誕生』

サイエンス(地学)
日本列島の誕生 (岩波新書)

日本列島の誕生 (岩波新書)

 

著者は1970年代後半、高知大学に赴任、当時、謎の地層群とされてきた四万十帯を研究。
詳細なフィールドワークから、四万十帯がプレート境界で生成される「付加体」ではないかと推察。そこから、日本列島の生い立ちについて研究、立てた学説は今の日本列島形成論の骨格を成すまでに至る、、、

この本が出たのが1990年ですが、わたしが購入した2013年までに28刷を重ねていることから、ひろく世に読まれているようです。
とくに2011年の東日本大震災発生によって、防災面からだけでなく、日本列島のできかた、地学的な現状をただしく理解することに注目が集まったのも契機となっているでしょう。

阪神淡路大震災では活断層に注目が集まりました。
東日本大震災によって、ようやく、日本列島が、4つのプレートの境目に位置する、世界でもまれに見る地質構造を持つことが知れ渡るようになっています。

今後、大地震による震災が発生するのは、絶対に避けられません。
そのような場所に住む日本人にとって、科学的、客観的に日本列島の構造や形成を知ることは、防災意識を高めるうえでも、必須ではないかとおもうのです。
おそらく研究者は、そのような意識とともに、純粋な科学的好奇心ともって解明に取り組んでいるとおもいます。
この本は、それがよくわかる内容でした。
 

『流氷の世界』

流氷の世界 (気象ブックス)

流氷の世界 (気象ブックス)

 

流氷を見に行こうとおもって、事前学習として『白い海、凍る海』を読みました。
児童書に分類される大型本でしたが、専門性にもしっかり踏み込んでいて大人が読んでも満足できる内容でした。
おなじ著者による、より詳しい「流氷の本」です。紋別の流氷科学センターで購入。

海にあるさまざまな氷を科学的に説明、海氷(一般的には流氷と呼ばれる)の生成メカニズム、その物理的特性、海の中でどのような作用をするかなど、明確に説明されています。
物理の方程式が出てくるところは、一般人には理解しにくいですが、論理的にちゃんと説明しようとする著者の姿勢がにじみ出ていて、とても好感が持てます。

ところどころに「流氷閑話」としてエッセイが載っています。
日本エッセイストクラブでも何度か受賞されているとか。
科学者としての感性の豊かさも存分にかんじられる本です。
 

『火山はすごい』

サイエンス(地学)
火山はすごい―日本列島の自然学 (PHP新書)

火山はすごい―日本列島の自然学 (PHP新書)

 

日本の<超>有名な火山と最近噴火した火山5山を挙げ、著者の火山学者になったいきさつ、挙げた火山の特徴を説明した本。著者の火山に対する熱い思いにあふれています。

阿蘇山:著者が火山に興味を抱くようになったきっかけになった山だということで、最初に取り上げられています。外輪山の広さが広大なため、「かつての阿蘇山はとてつもなく高い山だったのではないか」という疑問を持つひとがいるそうですが(←わたしもその一人)、外輪山の岩石を調べると単一の火山ではないことがわかるので、「ノー」。ちょっとロマンを削がれたかんじがします^^;

富士山:言わずと知れた日本で一番高い山かつ高い火山。富士山の成り立ちや、「もし噴火するとなるとどのような噴火か」についても書かれていて、きわめて科学的。どうやら、いきなり大噴火!することはないようなので、ちょっとほっとしました。

雲山普賢岳有珠山三宅島:ここ20数年の間に噴火した火山のなかでも大規模噴火だった火山。実際に著者が噴火の調査に携わっていたということで、それがポイントを抑えて記されています。とくに普賢岳は亡くなったひとも多く被害も甚大だったので、日本人に火山災害のおそろしさを見せつけた山といえます。

この三つの火山の噴火をかんがみると、被害者こそ戦後最大だったとはいえ御嶽山の噴火が、科学的には「小規模噴火」の域だったのは明白です。
火山をどうとらえるか、むずかしさを痛感します。おそらく、この3山の噴火を前提に、研究者も行政も、規模だけに注目したために、御嶽山などの水蒸気爆発を過少に見てしまったのは、不幸だったなとおもいました。
 

『増補版 地層の見方がわかる フィールド図鑑』

サイエンス

地層や地形など、地面の様子に特化してその様子を解説した本です。
全編カラーで文字も大きく読みやすい。
野外観察時に携帯していき、実際に露頭を見て、どういう成り立ちかを理解するときに便利…らしいです。

ただ、一点疑問におもうことが。
「レス」という項目で、「レス」がまったく解説されておらず、「テフラ」の解説に終始していて、どういうことかよくわかりません。
検索したところによると、レスとは、風成堆積物のことらしいですね(=黄土?)
『日本の土』(山野井徹著)では関東ローム層は火山灰層ではなく風成堆積によってできたもの、とあったので、ローム層の成り立ちを解説するところで項目名に「レス」を用いた、と判断しました。

ページをめくってながめていると、伊豆大島の地層大切断面や房総の堆積層の写真が非常に美しく、行ってみたい〜O(≧∇≦)O と叫びたくなるものばかりです。

巻末に、本書で出てきた場所も一覧にされてあるので、ジオサイト目録としても使えます。
 

『常陸国風土記』

日本史(古代)
常陸国風土記 全訳注 (講談社学術文庫)

常陸国風土記 全訳注 (講談社学術文庫)

 

出雲国風土記ほどではないものの、わりと完全な形で残っている風土記

古代には、新治郡、筑波郡、信太郡、茨城郡、行方郡、香島郡、那賀郡、久慈郡、多珂郡の九郡があったようだ。
なかでも、行方郡の記述が長いので、国府があった茨城郡よりもこちらのほうが発展していたのではないかとおもわれる。

行方は、霞ヶ浦と北浦の間にはさまれた、半島のようなところ。
「玉造」という地名があったり、関東では大きい部類にはいる古墳があったり、と、繁栄のさまがしのばれる。
景色もいいし、交通の便もよく、土地も肥沃とあっては、栄えないわけがない。
風土記を読んであのあたりに足を運んでみるのも一興かと。



出雲国風土記とくらべて際立つのは、内容以外には文体の”華麗さ"かとおもわれます。
書き下し文でもわかる、その漢文調。
巻末の解説を読むと、唐に留学した藤原四兄弟のひとりである藤原宇合の名がありました。
常陸国司になったことがあり、そのときに編纂したのではないかという説があるそうです。
大和政権にまつろわぬ国栖、土蜘蛛といった”異民族”の記述も頻繁に現れ、それらを平定していった伝説を多く載せるなど、中央視点の内容になっています。蝦夷討伐に意欲を見せた国司の手によるもの、という説には説得力がありました。

他に、万葉歌人高橋虫麻呂がかかわっていという説もあるとか。
このふたりが、ああだこうだと風土記について語り合っているところを想像するのもたのしい^^;